水平対向4気筒の名機「EJ20」搭載のスバル Sシリーズは、買えるうちに買っておけ!
2017/11/30
▲EV/FCVの時代が来る前にぜひ味わっておきたい名作エンジンのひとつ、スバルの2L水平対向4気筒「EJ20」。そのなかでもトップレンジのモデルに絞り、その魅力と狙い目を考えてみたいざっくり「名機EJ20」と言われるが、その内容は搭載車種により様々
近い将来、否応なしに(たぶん)やって来るEVまたはFCV(燃料電池車)+自動運転という交通環境。筆者にはそれがいつ、どのようにやって来るかの正確な予想はできない。
しかしガソリンエンジンを、いや、そのなかでも特に「名機」と呼ばれた内燃機関を思う存分に堪能できる残り時間は、さほど長くはないだろうことは想像に難くない。
なぜならば、古典派な自動車愛好家の琴線に触れる名機の多くは最近のエココンシャスなガソリンエンジンと違い、比較的大量のガソリンを消費し、比較的濃いめガスを必然的に排出するからだ。
残念ではあるが、社会がそれを本気で許さなくなった際に、古典派のエンジン愛好家が社会に対して言える有効な反対意見の種類はさほど多くないだろう。
ということで、まだまださほど焦る必要はないはずだが、それでもある程度は急いでやっておきたい行動がある。そのひとつが「乗れるうちに、名作内燃機関の味わいを存分に楽しんでおく」ということだ。
▲ツルンとした形状のEVまたはFCVが自動運転で走り回る時代が到来する前に、魂とガソリンとが激しく燃える硬派なガソリンエンジン搭載車の味わいを存分に楽しんでおきたい……と考えてもバチは当たるまい
いつになるかはさておき、前述のとおり時代がそれを許さなくなる可能性は大きい。それ以前に、そういった名作エンジンを搭載した中古車の流通量そのものが日に日に減少していくだろう。
「時代はまだそれを許しているけれど、肝心のモノがなくなっちゃいました」というマヌケな状況も大いに考えられるのだ。
そしてそういった「名作エンジン」について考えるとき、必ずと言っていいほど人々の口に上るのが「EJ20」という4文字。
かつては富士重工業と名乗っていたSUBARUが古くから製造している、排気量2Lの水平対向4気筒エンジンである。
ただし、EJ20なら何でもかんでも名機扱いするのも少々違うだろう。ひと言でEJ20型エンジンといっても、初代レガシィ用から現行WRX STI用まで28年間もの長きにわたって作られており、人気のターボ以外にNA(自然吸気)もある。
また同じターボでもMT用とAT用、あるいはSUVのフォレスター用など、搭載車種ごとに出力特性も大きく異っている。
その中のどれをEJ20内の「名機オブ名機」と考えるかは人それぞれだろう。
ここでは一般的に人気の高い「ターボのMT車に搭載されたEJ20」こそを「今のうちに堪能しておくべき名作エンジン」と定義し、それに絞って話を進めたい。
▲89年の初代レガシィから現在に至るまで、様々な改良を受けながら製造され続けているスバルの2L水平対向4気筒エンジン「EJ20」。写真は01年式インプレッサSTIのターボチャージャー付きEJ20「設計年次が古いからこそ大いに魅力的」という逆説
さて、EJ20エンジンの魅力には、低重心で高剛性、全長がコンパクトであるなどの「水平対向エンジンそのものが持つ優位性」がまずはある。
それに加えて、省燃費性や低速トルクを重視した新世代のスバル製水平対向4気筒(FB/FAエンジン)よりも「ビッグボア×ショートストローク」つまり高回転型であるため、スポーツユニットとしての資質がより高いわけだ。
現在でも、SUBARUブランドのトップスポーツモデルであるWRX STIと、SUBARUのモータースポーツ部門は相変わらずEJ20を使い続けている。
かつてのWRC(世界ラリー選手権)やスーパーGT、ニュルブルクリンク24時間レースでも、エンジンブロックなどは市販車に搭載するEJ20がベースだ。
▲モータースポーツの世界でも活躍するEJ20。写真は2004年のラリージャパンにおけるSUBARU Impreza WRC 2004
市販版のノーマルWRX STIでもレッドゾーンは8000回転から。時代の要請から低回転寄りとなっているものが多い現代の2L級ターボエンジンとしては異例の高回転型である。
ちなみに、新型ホンダ シビックタイプRやルノー メガーヌ ルノースポールなどが積む2Lターボのレッドゾーンは7000回転から。
MTを駆使したスポーツドライビングに興じる際には、1000回転多く回ることで「最後のひと伸び感」が得られ、フィーリング面における優位性が生まれるのだ。
初代レガシィや初代WRXに積まれたEJ20と比べると、現行WRX STIに積まれるEJ20はもはや「別物」と言えるまでに改良されている。が、基本部分の設計は不変。
その設計年次の古さこそが逆に、環境性能も重視せざるを得ない新世代スポーツユニット以上の魅力をEJ20にもたらしている……と言うこともできるだろう。
最高のフィーリングを求めるなら「Sシリーズ」のEJ20で
同じ「ターボのMT車向けEJ20エンジン」のなかでも、STI(スバルテクニカインターナショナル)の限定車「Sシリーズ」に搭載されるEJ20は別格というか別物。ぜひとも今のうちに味わっておきたい名機だ。
SシリーズのEJ20はいわゆる「バランス調整」が施されているため、通常のEJ20とは耐久性とフィーリングの次元が大きく異なるのである。
ただ、しばしば誤解されているのだが、スバルの場合は(もちろんおそらく他メーカーも)基本的にはどんなエンジンに対しても「バランス取り」は実施している。
違うのは、「Sシリーズではより精度を高めたバランス取りを実施している」ということだ。
そしてSシリーズにおけるバランス取りの本当の狙いは、フィーリング面よりも「微細な振動を低減することによるメタルの耐久性確保」。
スバルでは初代レガシィが89年に樹立した「10万km速度記録」に挑戦する際に、そのノウハウが磨かれたという。
▲バランス取りとは、ピストンやクランクシャフト、コンロッド、フライホイールなどのダイナミックバランス(動的釣り合わせ)を調整することである。高回転時の不快な振動をなくし、モーターのようにきれいに回るようにするファインチューニングのひとつ。写真はインプレッサ S204のバランス調整済みコンロッド
現在、中古車マーケットで狙えるSシリーズは様々あり、正直申し上げればそのすべてがかなり気になる存在だ。
だが強いての中古車的最注目モデルを挙げるなら、2004年12月に発表され、翌2005年1月に発売となった「インプレッサ S203」になるだろうか。
2代目インプレッサWRX STIをベースに作られたインプレッサ S203は、IHI(旧社名:石川島播磨重工業)が専用製造した大径ボールベアリングターボを採用。そのことで低速域を犠牲にすることなく、中高速回転域以上での圧倒的なパワー感と小気味よいピックアップを実現した。
IHIは、当時のスバルWRCチームのテクニカルスポンサーでもあり、WRCの現場でSTIと信頼関係を築いてきたからこそ実現した、最高のコラボレーションであった。
▲2代目インプレッサWRX STIを、STI(スバルテクニカインターナショナル)がチューニングしたコンプリートカー、インプレッサ S203。そのEJ20エンジンは最高出力320ps/6400rpm、最大トルク43.0kgm/4400rpmを発生。新車時価格は460万9500円で、555台の限定販売だった
▲大型化されたタービンはIHI(石川島播磨重工業)製の専用品。タービン軸受けにボールベアリングを採用し、タービンブレードの形状と枚数も変更。低回転域から高回転域まで優れた出力特性を実現した
まだまだ「絶滅危惧種」と言うほどの状況ではないが、このS203や、さらにその前身であるS202の流通量は正直、歳月とともに減少を続けている(そして初代S201はすでに絶滅危惧種とも言える状況に……)。
珠玉の水平対向4気筒ターボの濃厚なる味わいを我が物としたい人は、ある程度は焦って探すべきなのだろう。
ちなみにSUBARUというと、例の「完成検査業務に関わる不適切事案」について懸念を覚える方もいらっしゃるかも。
それについて言うと、今回リコール対象となったのは14年1月から17年10月3日までにSUBARUで完成検査を完了し、工場を出荷した車両(※ただし14年11月16日までに登録した車両と、レンタカー等の3年車検以外で初回車検を受けた車両は対象外)。
この期間以前の中古車であれば基本、例えば車検などにおいて、しかるべき検査員による検査および整備を受けているので、無資格検査云々に関する不安は実質ない……。と考えることができるはずだ。
▼検索条件
スバル インプレッサSTI S201/S202/S203この記事で紹介している物件
スバル
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